超純水とは?特性と製造方法、飲むと身体にいい?
超純水は、非常に高い純度を持つ水であり、産業や研究分野で広く使用されています。
その特性や製造方法について理解することは、化学関連の研究者、製造業者、技術者にとって重要です。
また、超純水の飲用に関しては、身体への影響についても知識を持つ必要があります。
そこで、以下では超純水の定義や特性、製造方法、そして飲むことが身体に与える影響について詳しく解説します。
超純水とは?その特性
超純水は、非常に高い純度を持つ水のことを指します。
一般的な水処理プロセスでは除去できない微量の不純物やイオンをほぼ完全に取り除いた水であり、化学的に非常に純粋な状態に近いとされています。
超純水は無色透明で、味や匂いをほとんど持たず、非常に低い電気伝導率を示します。
純度基準
超純水の純度は、一般的に微量の不純物やイオンの存在量で評価されます。
一般的な基準では、超純水は特定の不純物の濃度が極めて低いことが要求されます。
一般的な純水の導電率は数マイクロシーメンズ/センチメートル程度ですが、超純水では数ナノシーメンズ/センチメートル以下の極めて低い導電率を持ちます。
pH値
超純水のpH値は、中性または非常に近い値を示すことが一般的です。
ただし、超純水は非常に低いイオン濃度を持つため、外部からの影響を受けやすく、pH値が変動することもあります。
そのため、超純水を取り扱う際には、環境や使用目的に応じた適切なpH値の調整が必要となります。
超純水の製造方法と使用される技術は?浄水プロセスについて解説
超純水の製造には、一般的に複数の工程が組み合わされる浄水プロセスが使用されます。
主な工程には以下のようなものがあります。
原水供給
まず、超純水を作成するための原水が供給されます。
一般的には地下水や市営水道水などが使用されますが、原水の品質が製造プロセスに影響を及ぼすため、高品質な原水の選定が重要です。
濾過
原水中の固体や浮遊物を取り除くため、濾過プロセスが行われます。
濾過には膜フィルターやろ過装置が使用され、微細な不純物を捕捉します。
逆浸透
濾過後の水を更に浄化するため、逆浸透(リバースオスモシス)と呼ばれる技術が適用されます。
逆浸透は高圧をかけて水を透過させることで、微細なイオンや溶解物を取り除きます。
電気浄化
逆浸透によって得られた水は、さらにイオン交換樹脂や電気浄化装置によって微量のイオンを除去します。
これによって、超純水の最終的な純度が確保されます。
家庭での超純水の作成方法は?
一般的に、超純水は産業や研究施設などで大量に使用されるため、家庭での製造は一般的ではありません。
超純水を家庭で作成する場合でも、専門の装置や設備が必要であり、高度な技術や知識が求められます。
そのため、一般的な家庭での超純水の作成は困難であり、市販の浄水器などを使用して水質改善を行うことが一般的です。
ただし、代替手段として以下のものがあります。
蒸留装置の使用
蒸留は、水を沸騰させて水蒸気として収集し、その後冷却して純水として取り出す方法です。
蒸留装置は、家庭用の小型装置から大型の商業用装置までさまざまなタイプがあります。
蒸留によって微量の不純物や化学物質を取り除くことができますが、注意が必要な点としては、蒸留によって必要なミネラルも取り除かれるため、栄養補給の観点からは考慮が必要です。
活性炭フィルターの使用
活性炭フィルターは、家庭用の浄水器によく使用される方法です。
活性炭は微細な孔構造を持ち、不純物や化学物質を吸着する特性があります。
活性炭フィルターは比較的低コストで手軽に利用できますが、完全な除去が求められる微細な不純物には効果が限定されることがあります。
超純水の用途
超純水はどのような用途で使われるのでしょうか。
ここでは、用途について簡単に紹介します。
半導体製造業
超純水は、半導体製造業界において不可欠な材料です。
半導体の製造プロセスでは、微細な回路やチップの製造に高品質な水が必要とされます。
超純水は、半導体製造工程での洗浄やエッチング、リン酸脱水などのプロセスに使用され、微量の不純物が半導体素子の性能を劣化させることを防ぎます。
医療分野と研究用途
超純水は、医療分野や研究施設でも広く使用されています。医療機器や製薬プロセスにおいて、高品質な水が必要とされます。また、生物学や化学の研究においても、超純水は実験用溶液の調製や装置の洗浄などに使用されます。
その他の産業分野
超純水は、化学工業や製造業のさまざまな分野で使用されます。例えば、光学機器の製造ではレンズやプリズムの洗浄に使用され、食品産業では高品質な水が必要なプロセスに応用されることもあります。さらに、エネルギー産業や自動車産業などでも超純水が使用される場合があります。
超純水の飲用とその影響
超純水は飲むと身体にいいと言う話や、逆に悪いという話も聞かれます。
結論を述べると、超純水は水分補給以外の何の影響も与えません。
超純水の飲用は安全か?
超純水は、その非常に高い純度から一般的な飲用水とは異なります。
一般的な飲用水には必要なミネラルや栄養素が含まれていますが、超純水はこれらの成分をほとんど含んでいません。
そのため、超純水を長期間にわたってのみ続けると、必要なミネラルや栄養素の摂取が不足する可能性があります。
超純水を飲むと、ミネラルや身体の成分を吸着してしまうという話もありますが、デマです。
飲用した場合の身体への影響
超純水を飲用した場合、一般的には身体への直接的な有害な影響はありません。
ただし、上記で述べたように、必要なミネラルや栄養素の摂取が不足する可能性があるため、バランスの取れた食事や補助的な栄養摂取が重要です。
また、個々の健康状態や特定の疾患によっては、超純水の摂取に関して医師の指示を受けることが適切です。
超純水は飲んでも大丈夫だが、工業用に使われる
超純水は、高い純度を持つ水であり、半導体製造業や医療分野などで幅広く使用されています。
その製造には逆浸透や電気浄化などの技術が使用され、純度基準に基づいて製造されます。
ただし、超純水の飲用に関しては、必要なミネラルや栄養素の摂取に注意が必要です。適切な飲用水の選択やバランスの取れた食事が重要です。