ポンプは種類が豊富!特徴を知って用途に合ったポンプを選ぼう
ポンプは住宅や工場などの建物の他、農業や河川など、さまざまな現場で必要とされる機械です。一言にポンプといっても、種類によって特徴が違うことをご存じですか?ポンプを使う用途によって選ぶ種類が変わってくるため、どれを購入してもいいわけではありません。そこで今回は、ポンプの種類別の特徴や用途に合わせた選び方について、詳しく解説します。
ポンプの役割と仕組みは?
ポンプは「液体を低いところから高いところへ」「低圧から高圧に圧力を高める」など、外部の動力を使って動かす機械です。吸水・排水や上下動水、工業用水配送畑地かんがいなど、さまざまな場所でポンプは活用されています。ポンプの性能は、一定時間に液体量を吐き出す「流量」と、液体をどれだけの高さまで吸い上げる(押し上げる)か、圧力をどれだけ加えるかを数値化した「揚程」の2つが関係しています。どんな用途でポンプを使うのかで選ぶ種類は変わるため、ポンプの種類の特徴をしっかり把握しておくことが大切です。
ポンプの種類は大きく分けると2つ
ポンプの種類は大きく分けると2つあります。それぞれの特徴を確認していきましょう。ポンプの種類:容積式ポンプ容積式ポンプは、機械の往復運動や回転運動によって液体を動かすのが特徴です。
- ポンプ内に液体がなくても吸い上げ力が高い
- 吐出圧や流量を一定時間、確保できる
- 送液量は非容積式ポンプより少ない
さらに容積式ポンプは、次の2種類に分類されます。
種類 | 特徴 |
往復動ポンプ (ピストンポンプ・プランジャーポンプ・ダイヤフラムポンプ) |
ピストンやプランジャーなどを往復運動させることで吸引や吐出させる。 |
回転ポンプ (ギアポンプ・スクリューポンプ・ペーンポンプ) |
歯車やローターなどを回転させて吸引や吐出させる。容積が一定で定量性がある。 |
ポンプの種類:非容積式ポンプ
非容積式ポンプは、暮らしの中でも使われているケースが多いです。
例えば灯油ポンプや手動式の井戸水に使うポンプは、往復動ポンプを使用しています。
非容積式ポンプは、羽根車の回転によって生じる遠心力を使って、液体を送り出すのが特徴です。
- 大量の液体を連続して送り出せる
- 定量性が容積式ポンプより低い
- 自吸性能が低く、呼び水が必要な場合が多い
種類 | 特徴 |
遠心ポンプ (渦巻ポンプ・タービンポンプ) |
遠心力によって吸引や吐出させる。 |
プロペラポンプ
(軸流ポンプ・斜流ポンプ) |
羽根車(船のスクリューのようなもの)を持ち、羽根車から液体を吐き出す。 |
粘性ポンプ (カスケードポンプ) |
羽根車の回転の力を使い、高圧で少量の液体を移送することができる。 |
非容積式ポンプは、水道や下水道、河川の排水用ポンプなどに使われています。
ポンプの構造が違う種類「特殊型」もある
ポンプの種類は大きく分けると「容積式ポンプ」と「非容積式ポンプ」の2つに分類されますが、さまざまな仕組みを持つ「特殊型」という種類もあります。
- 噴射ポンプ
- 気泡ポンプ
- 水撃ポンプ
- サニタリーポンプ
ポンプの構造によって種類が分かれるため、用途に合わせて目的に合ったポンプを選ばなくてはいけません。特殊型ポンプの種類別に、特徴を確認していきましょう。
噴射ポンプ
ポンプ内部に弁などがなく、パイプに液体を流し込み、他の部分から液体を吸い上げて吐き出すポンプです。噴射ポンプはディーゼル車のエンジンに使われており、エンジンから自然発火しないようにポンプが制御してくれます。
気泡ポンプ
気泡ポンプは、パイプ内に気体を流し込み、気泡が浮かび上がることで液体を吸い上げるポンプです。別名「エアリフト」とも呼ばれており、高粘度材料用タイプの気泡ポンプもあります。
水撃ポンプ
入水管から勢いよく水をポンプに送り込み、落差やスピードのある流れがある時に急に弁を閉めて水撃作業によって、はじめより高い位置に液体を吸い上げるポンプです。お風呂の残り湯を洗濯機へ移動する時に使用するポンプなどが水撃ポンプです。
サニタリーポンプ
サニタリーポンプは、遠心式ポンプやロータリーポンプなど、容積式ポンプなど幅広く使用できるのが特徴的です。食品や飲料工場、医薬品など、安全面と衛生面に配慮した場所で利用されています。基本的にステンレス製で、分解や組み立て、洗浄などのメンテナンスが簡単にできるのもポイントです。
ポンプの種類で変わる!用途別の選び方とは?
ポンプは種類によって特徴がまったく違います。使う用途によっては吸引や吐出力が弱く、求める機能を満たしてくれない可能性があるでしょう。ポンプを選ぶ時は「流量」と「圧力」の2つのポイントに注目することで、用途にあったポンプを見つけられます。例えば、流量は関係なく揚程を高くしたいなら「遠心ポンプ」、流量も揚程もある程度欲しい時は「斜流ポンプ」などがおすすめです。
まとめ
ポンプの種類は豊富であるため、それぞれの特徴や仕組みをしっかり理解しておくことが重要です。使用する環境によって必要なポンプは変わるため、種類別の違いを比較しながら用途に合ったポンプを選びましょう。