ポンプとは?ポンプの仕組みを種類別に解説
液体を送り出すのに必要なポンプは、今や我々の生活になくてはならない大事なものですが、その仕組みはどのようなものなのでしょうか。
生活に身近なものでありながら、その仕組みを知らない方も多いでしょう。
意外と知らないポンプの仕組みを、種類別に分けて解説します。
ポンプの意外な活用方法についても紹介するので、気になる方はぜひともご覧ください。
ポンプとは何か
ポンプとは、液体を送り出すために必要なエネルギーを生み出す機械です。
自然界の法則により、液体は高いところから低いところへ移動します。
または摩擦力による抵抗の影響を受け、移動速度は減速していきます。
そこに必要な圧力を加え、必要なところへと滞りなく液体を流すべく安定した液体の流れを作るのがポンプなのです。
ポンプは我々の生活に密着したさまざまなところで使用されています。
一番身近なのが上下水道ではないでしょうか。
ポンプがなければ、思うように水を供給または排出できません。
そのほかにも化学プラントや石油製造設備といった工場でも使用されており、動力の中心部との意味合いから、液体流動の「心臓部」との異名もあります。
ポンプの仕組みは3種類に大別できる
ポンプは、液体を吸い込み吐き出す過程で、液体に圧力を加える仕組みが原動力になっています。
その圧力の加え方により、ポンプの仕組みは3種類に大別できるのです。
その3種類を紹介し、それぞれの仕組みを解説します。
①ターボ形ポンプ
羽根車を回転させ、そこから発生する遠心力を利用して液体に圧力を加える方法です。
その特徴は、回転が高速で連続性があります。
その反面、吸い上げる力や押し上げる高さである揚程が比較的低く、流量の変動が大きくなり定量性が悪いです。
②容積形ポンプ
定まった空間の容積を減少させ、圧縮作用として液体に圧力を加える方法です。
その特徴は、吸い上げる力や押し上げる高さである揚程が比較的高く、流量の変動があまりないので定量性がよいのです。
③特殊形ポンプ
水や蒸気を使用し、ジェット噴射の仕組みで液体に圧力を加える方法もあります。
「真空ポンプ」では、液体ではなく気体を扱い、容器内を真空に保つために気体を吐き出します。
基本的に液体を扱うポンプの中で、気体を扱う真空ポンプは特殊といえるでしょう。
ターボ形は3種類に分類できる
ターボ形ポンプは、さらにその仕組みの違いから3種類に分類できます。
液体を吐き出す方向の違いから、3種類に分けられるのです。
その3種類を紹介し、それぞれの仕組みを解説します。
①遠心形
遠心方向、つまりポンプの回転軸と直角方向に液体を吐き出します。
流量は比較的少ないですが、揚程は比較的高いです。
石油精製や食品加工など、大半の産業設備で使用されているポンプの仕組みです。
②斜流形
斜流、つまりポンプの回転軸に対して斜め外方向に液体を吐き出します。
遠心形と軸流形の中間に位置し、流量、揚程ともに求められます。
③軸流形
軸流、つまりポンプの回転軸に沿った長さの方向に液体を吐き出します。
流量は比較的高いですが、揚程は比較的低いです。
河川排出や下水用雨水で使用されているポンプの仕組みです。
容積形は2種類に分類できる
容積形ポンプは、さらにその仕組みの違いから2種類に分類できます。
空間の容積を減少させる運動方法の違いから、2種類に分けられるのです。
その2種類を紹介し、それぞれの仕組みを解説します。
①往復形
往復運動を利用します。
シリンダ内をピストンが往復すると空間の容積を減少させ、圧力を高めて液体を吐き出します。
井戸水の組み上げや、薬品の注入・輸送に使用されるポンプの仕組みです。
②回転形
回転運動を利用します。
歯車やネジが回転して空間の容積を減少させ、圧力を高めて液体を吐き出します。
高粘度の液体輸送に使用されるポンプの仕組みです。
ポンプの意外な活用方法
ポンプは上下水道や工場の配管設備で使われているほかにも、実は我々の生活に身近なところで使用されています。
例えば医療における点滴。
インスリンが必要な糖尿病患者に対し、インスリンポンプを使用すると、連続的なインスリン投与が可能になります。
これまでのインスリン注射でインスリンを投与するのに比べて手間がかからず、量の調整も容易になりました。
それ以外では、映画館で使われるプロジェクターや、銀行ATMで使われる紙幣カウンターなどがあります。
映画館の大型プロジェクターは、通常付けられている空冷装置に加え、ポンプを使用した冷却水の循環で発熱を抑えています。
ATMの紙幣カウンターは、真空ポンプを使用した紙幣の吸い寄せで、紙幣のカウントを容易にしているのです。
まとめ
本記事では、種類により異なるポンプの仕組みについて解説しました。
ポンプは、異なる仕組みに応じた使われ方がされています。
意外なポンプの活用方法も紹介しましたので、ポンプを知るうえで参考にしてください。