見取り図って何?意味や似た言葉との違いを詳しく解説
「見取り図」をご存知でしょうか?
設計図や展開図、間取り図などと間違われやすい言葉ですので、間違って使っている方も多いかもしれません。
そこで本記事では「見取り図」の意味と、よく似た言葉を一緒に解説しました。
見取り図は建設分野だけでなく、小学校や中学校で習う算数・数学にも登場する言葉です。
意味や似た言葉との違いを確認しながら見取り図の意味を改めて知っていきましょう。
そもそも「見取り図」とは何か?
「見取り図」には、2つの意味があります。
1つめは、地形や建物・器物などの形や配置をわかりやすく描いたものをいいます。
これは真上から見たそのままを描いているので、地形や建物であれば地図のようなものに近いでしょう。
ロールプレイングゲームなどダンジョンのあるゲームの場合、画面上に簡単な地図が表示されます。
この表示される地図が、1つめの意味の「見取り図」を指しているのです。
2つめは、平行定規やスケールなどの製図用器具を使わずにフリーハンドでスケッチした図を意味します。
建設や機械の図面だと、製図するときに定規などを使って正確に測って設計図を完成させますが、見取り図は大まかでざっくりと描いたものになります。
例えばプラン検討時に、メモで見取り図を描き、それをCADで製図に起こすといったイメージです。
建設における「付近見取り図」とは
建設の図面の中には「付近見取り図」があります。
これは、建物の建築地を中心にその周辺を記した地図をいい、建物を建築する際に必ず設計図の最初のページにつけられます。
これは、これから工事に関わる業者が建築地を把握するためにつけるものなので、どの道を通れば建築場所に行けるのかを示した「付近見取り図」は、建設現場では非常に大切な図面の一つです。
【重要】よく似た言葉を紹介
「見取り図」とよく似た言葉がいくつかあります。
● 展開図
● 設計図
● 投影図
● 間取り図
これらの言葉はよく似ているようにも思えます。
しかし、実際に意味を紐解くと全く異なる意味を持っているのです。
それぞれの言葉と「見取り図」との違いについて解説していきます。
また、「見取り図」は建設業界で使われたり、算数・数学で使われたりする場合もあるのです。
それぞれの場合において、「見取り図」がどのような意味を持つのかも説明していきます。
建設における「間取り図」との違い
「間取り図」は、建物の内部の部屋の配置や広さ、窓や建具の配置が確認できる図を指し、主に設計事務所や不動産会社が作成するものです。
建売住宅や注文住宅を購入する際に、必ず間取り図は作られ、お施主様はそれを見ながらマイホームの計画を立てていきます。
「見取り図」と「間取り図」の違いは、建設における見取り図は主に「付近見取り図」を意味し建築予定地周辺も描かれた地図であるのに対し、「間取り図」は建物そのものの図面を指しています。
建設における「設計図」との違い
建設における「設計図」は、設計した建造物などの形や構造、寸法を記した図面を意味します。
「設計図」は、以下のような図面を総称したものともいえるでしょう。
図面名 | 意味 |
平面図 | 建物を水平に切断して見た図 |
断面図 | 建物を垂直に切断して横から見た図 |
立面図 | 建物を真横から見た図 |
矩計図 | 建物を垂直に切断し部材などを記した図 |
天井伏図 | 天井を見上げた図 |
展開図 | 建物の中心から四方を真横から見た図 |
平面詳細図 | 平面図に仕上げや寸法など詳細を書いた図 |
配置図 | 建物と敷地、道などを書いた図 |
床梁伏図 | 各階の床や梁の骨組みを書いた図 |
軸組図 | 木造軸組工法の構造を書いた図 |
電気設備図 | 建物の電気関連設備を記した図 |
空調換気設備図 | エアコンや換気扇を記した図 |
給排水衛生設備図 | 給排水設備などを書いた図 |
先に述べたように、建設における「見取り図」は付近見取り図を意味します。
設計図の最初のページに付近見取り図がつけられる場合が多く、付近見取り図も設計図の一つなのです。
【確認しよう】算数の分野におけるよく似た言葉を解説
算数・数学の分野にも見取り図が使われ、よく似た言葉には「展開図」「投影図」があります。
この3つの言葉の違いを解説していきます。
見取り図 直方体や立方体などの形がわかるように全体を描いた図
展開図 直方体や立方体を切り開いた図
投影図 直方体や立方体などの立体を真上や真正面から眺めて見えたものを平面に表した図
言葉で説明すると難しく聞こえますが、展開図と投影図は平面を図に表しているのに対し、見取り図だけが立体を立体らしく描いているものを意味しています。
見取り図と展開図と投影図は全く違うものです。
建設における「見取り図」の描き方
建設における「見取り図」の描き方についてご紹介します。
先述したように、建設での「見取り図」は「付近見取り図」を意味しますので、建設予定地を中心に地図を描いたら完成です。
道案内のための簡単な付近見取り図を作成する場合は、目的地までの目印となる駅や郵便局などの建築物の名前を記したり、国道・県道の名称、十字路や曲がり道を線で描いたりして作成します。
初めてその地へ行く方にもわかりやすいよう付近見取り図を作成しましょう。
算数における「見取り図」の描き方
算数における「見取り図」の描き方を解説します。
実際に学生の頃に作成した方も多いのではないでしょうか。
例えば、立方体を描くとした場合の手順は以下の通りです。
1. 正面の正方形を描く
2. 正方形の4点に同じ長さで平行な斜めの線を4本描く。このとき、手前の正方形に重なって見えない線は点線で表記する
3. 平行な線の端点をつないで正方形を描く。このとき、手前の面に隠れて実際は見えない線は点線で描く
以上が算数における見取り図の描き方です。
まとめ
見取り図の意味や、似た言葉について解説しましたがいかがでしたか。
見取り図には、建設業界で使われる付近見取り図だけでなく、数学などの分野でも使われる言葉であると改めて理解できたのではないでしょうか。
また、間取り図や設計図など似たような言葉もありますが、それらは全く違う意味の言葉です。
見取り図の意味を正しく理解して、適切な場面で使いましょう。